「トビタテ!留学JAPAN」広報・マーケティングチームリーダー西川朋子氏 「トビタテ!留学JAPAN」は、文部科学省が2013(平成25)年に開始した官民協働のもと社会総がかりで取り組む留学促進キャンペーンだ。高校生・大学生の留学を返済不要の奨学金の支給で後押しするもので、原資は企業・団体・個人からの寄附金で成り立っている。 文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」の広報・マーケティングチームリーダーとして事業を牽引する西川朋子氏に、その内容や「総合的な探究の時間」との関わり等について紹介していただいた。留学促進キャンペーンの枠組みで、海外に留学する日本の若者を増やすためのフラッグシップ事業として、平成26(2014)年から始動した海外留学制度がす。令和5(2023)年に公表された教育未来創造会議の第二次提言では、令和学生の海外留学者数を全体で50万人にまで引き上げる目標が掲げられました。数だけを追うのではなく質を高める体制の整備が求められています。平成25(13)年度から令和4(22)年度まで、「トビタテ!留学JAPAN」では「第1ステージ」として、約9,500人の若者を採択しました。さらに、令和5年度までの5年間は「第2ステージ」として、留学機「トビタテ!留学JAPAN」「日本代表プログラム」で15(33)年までに日本人(23)年度から令和9(27)の三要素に❶語学力・コミュニケーション能力❷主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感❸異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーが示されました。グローバル人材をごくシンプルに考えれば、日本であろうと海外であろうと、働く場所や生きる場所を問わず、世界のさまざまな国々や異文化を客観的に見て理解した上で、他者と上手に付き合っていくイメージでしょうか。実際に「トビタテ!留学JAPAN」のもと、プログラムを経て社会に踏み出したみなさまの多くは、例えば官公庁をはじめ、JICAやJETRO、JAXAといった政府機関、教育機関、民間企業、起業家など、多岐に渡って活躍しています。「新・日本代表プログラ運の再醸成にム」は、毎年秋に募集を開努めていま始します。募集要項公開後す。留学制度は、説明会の場を設けるよの名称も令和うにしています。高校生に5(23)年度向けては、全国で説明会をから「新・日行い、かつオンラインでも動画を配信します。本代表プログラム」と改め、第一段階の締め切りは、新たな□グロ高校生が翌年の1月、大学生が同2月です。ただし、ーバルリーダー□の輩出を高校を通じて応募の手続き目指しているをするシステムとなっているため、新・高校一年生はところです。日本政府にその時点では中学三年生でよって、平成すから応募が難しいかもし23(11)年にれません。その場合は例外開催されたとして、特別に4月に締め「グローバル切りを設けています。その人材育成推進第一段階の締め切り後、書会議」では、面審査・面接審査を経て、グローバル人春頃に採否の結果を通達し材の育成と活ます。高校生は6月、大学用に関する方生は7月に壮行会が開催さ針がまとめられる段取りです。れ、グローバただし、「トビタテ!留ル人材として学JAPAN 新・日本代表プログラム」への応募は、単純に申し込むだけでは成り立たないのが大きな特徴です。高校生は「探究」、大学生は「実践活動」という自分なりのテーマを持った留学先の現地社会と直接関わる計画を示さなければなりません。最近では高校現場で「総合的な探究の時間」を活用した取り組みが定着してきた印象があります。一方、海外留学中に行う探究活動の「問い」について難しく捉えてしまい、テーマを決めあぐねてしまう応募者も少なくありません。そのような方にご覧いただきたいのが、「トビタテ!留学JAPAN」公式サイト内の『留学大図鑑』です。2,300人以上の先輩留学生の体験談を検索することができます。例えば「環境」に興味があれば、キーワード検索することで、多様な切り口があることが実感できるでしょう。ご自身の留学計画の立案にぜひ参考にしてください。原則として、全員の参加が必須の事前・事後研修に重きを置いています。「トビタテ!留学JAPAN」は、単純に奨学金を支給して留学先に送り出して終わりという趣旨のものではありません。これまで一万人以上の若者を送り出しており、その一万人以上の若者がコミュニティをつくり、つながり合うことが大事だと考えているのです。多様な人材が一つのことに共に取り組むことで生まれる相乗効果を期待しています。留学先に送り出すのは高校生は7月以降順次、大学生は8月以降順次で、各自の留学計画のタイミングで飛び立っていきます。留学期間は高校生では14日間が最短、大学生では28日間が最短のため、帰国の時期も特に一致しません。帰国後は随時、自分に合ったタイミングで事後研修に参加します。この研修では、彼ら・彼女らが会って交流する時間を大切にしています。失敗談も含めて話し合ってお互いに仲良くなり、情報交換するなどの交流が生まれています。留学に送り出した後、世界や日本の課題解決ができるようなコミュニティに育てていくことを目指しています。それにより、日本を元気にして、社会や世界に貢献することを「トビタテ!留学JAPAN」のゴールと位置づけています。留学先については、高校生の場合は、最も多いのは北米、ヨーロッパです。次いで、治安が良く親日的で、時差も小さいオセアニアの人気が相対的に高くなっています。また、アジアも人気があります。採用された生徒の傾向を見ると、教員や高校が背中を押してくれるか否かも大きいようです。応募の際には、生徒本人が自分なりの探究テーマをもとにした留学計画を立て、自己アピール等と合わせてまとめた「留学計画書」を作成し提出する必要があります。これが一つの関門になっている分、生徒を支える教員の影響力はやはり大きいのでしょう。運営面では「トビタテ!留学JAPAN」は企業、団体、個人からの寄附金で成り立っています。寄附金は、「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトの運営全般に活用しています。パスポートを保有している日本人は約17%に過ぎません。ビザ(査証)なしで入国できる国が多く、「世界最強のパスポート」の一つと言われているにも関わらず、約6人に一人しか持っていない計算になります。ここをもう少しなんとかしたい。留学とは草の根の外交だと思います。10〜20代の海外での異文化体験は刺激と感動の連続で、大きな意味があると感じます。やはり私たち大人がいま生きている社会と、いまの10代の若者たちがこれから生きていく社会は同じではありません。その変化に耐え得る力を身につけさせることが、大人が若者にできる最大の支援ではないかと考えています。そのためには、予測不可能な状況に身を置いて「もがく」という経験が必要ではないでしょうか。留学は、まさにそのような体験に満ちています。高校の先生方には、生徒に留学を勧めていただきたいと思います。高校生のみなさんにお伝えしたいのは、やりたいことがあるなら、しっかり実現していただきたいということです。高校生でも大人顔負けの活動をしている人もいます。時間がないからとあきらめず、もし海外に行ってみたいという思いがあるのなら、選択肢の一つとして「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」をぜひ加えていただき、チャレンジして欲しいと思います。官民協働の海外留学支援制度日本人留学生50万人を目指す社会的な課題解決を模索つながるコミュニティに育てる海外で深める探究の「問い」留学計画を自ら立案して応募海外留学は「草の根の外交」10〜20代こそ大きな意義が留学先は世界中に広がる原資は企業等からの寄附金第75号キャリア&就職支援ジャーナル高等学校版https://daigakushinbun.com/官民協働事業2025年6月27日(金)官民協働海外留学官民協働海外留学官民協働海外留学創出プロジェクト創出プロジェクト文部科学省創出プロジェクトトビタテ!10官民協働で□グローバルリーダー□を育成し、日本の未来につなぐ官民協働で□グローバルリーダー□を育成し、日本の未来につなぐ留学JAPANトビタテ!留学JAPANのフラッグシップ事業新・日本代表プログラムで日本の若者を世界に派遣
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